目次 ==== 1. キャラクター 1.1 能力値と能力値修正 1.1.1 能力値修正表 1.2 副能力値 1.2.1 負傷と回復 1.2.1.1 攻撃以外のダメージ 1.2.2 疲労と回復 1.2.3 勇気 1.2.4 堕落 1.3 その他の修正 1.4 技能と特殊能力 1.4.1 技能の専門化 1.4.2 技能ごとの特殊修正 1.5 判定 1.5.1 グループによる判定 1.5.2 対決判定 1.6 成長 1.6.1 知名度の上昇 1.6.2 複数職業の兼業 1.6.3 上級職 2. アイテム 3. 戦闘 3.1 移動 3.2 攻撃 3.3 回避と防御 3.4 射撃 3.5 狙いをつける 3.6 攻撃の大成功 3.7 スタン 3.8 恐怖 3.9 騎乗戦闘 3.10 敵データに関して 3.11 戦争 3.11.1 部隊戦闘 3.12 建造物 4. 長距離移動 5. この抄訳に関する注意点 1. キャラクター キャラクターは,以下の手順で作成される. 1. 種族,職業の決定 2. 能力値の決定 3. 副能力値の決定 4. 種族,職業に応じた技能,特殊能力,特徴の取得 5. 技能の専門化 6. アイテムの購入,魔法の修得 訳註: 特にこの順序に縛られる必要はないが, キャラクターの種族,職業を先に確定したほうが,能力値を決定しやすい. 1.1 能力値と能力値修正 キャラクターの能力は,次に挙げる6つである. Bearing (BRG): 意志力,気力,それに伴う威厳などを表す. 説得や激励,脅迫,魔法といった能力に影響する. Nimbleness (NIM): 一般的な敏捷さ,器用さを表現する. 戦闘全般,アクロバット,細工物の製作といった能力に影響する. Perception (PER): 感覚の鋭さを表す. 知覚,探索,生存といった能力に影響する. Strength (STR): 腕力の強さを表す. 登攀,跳躍といった能力,攻撃のダメージ,運搬可能な荷物の量に影響する. Vitality (VIT): 生命力. 負傷に耐えられる量,また毒や病への抵抗に影響する. Wits (WIT): 直観力や記憶力,一般的な知性を表す. 隠密や負傷の手当て,言語や鑑定といった能力に影響する. 各能力値は,最低1,最大で12+種族修正値となる. 魔法などを用いた場合のみ,一時的に12+種族修正を超えることができる. また,種族のマイナス修正によって能力が1より低くなることはない. 判定を行うときは,通常,能力値から算出される能力値修正を用いる. 能力値の決め方は二通りで,ランダム法と選択法がある. ランダム法: 2d6 を9回振って,高いもの6つを6種類の能力値に割り当てる. 選択法: 10, 9, 7, 7, 5, 4 の固定値に,8ポイントを自由配分で加算する. このとき,能力値の最大値は12とする. 値の割り当てを決めたら,種族ボーナスを加算して最終的な能力値を確定し, 能力値修正表(Table 2.1, p.48)を参照して能力値修正を決定する. 能力の割り当てが終わったら,「得意能力(favored attribute)」を 二つ選択する.選んだ能力は,成長に必要なポイントが少なくなる. 選択に関しては,職業,種族によってガイドラインが示されているが, 基本的にはプレイヤーの自由である. 1.1.1 能力値修正表 能力値 能力値修正 0-1 -3 2 -2 3 -1 4-7 0 8-9 +1 10-11 +2 12-13 +3 14-15 +4 16-17 +5 18+ 能力値 2 点ごとに +1 1.2 副能力値 能力値から計算される二次的能力のことを副能力値と呼ぶ. 能力値と副能力値は,一度決定されると,以降は独立して成長,変化する. リアクション: 副能力の中で,主として防御判定に用いる4能力の総称である. 能力値が成長しても,これらの副能力値は上昇しない. Stamina STR修正またはVIT修正のどちらか高いほうの値をとる. 毒や病気,炎や冷気への抵抗,魔法の使用や重労働での疲労判定に使用する. Swiftness NIM修正またはPER修正のどちらか高いほうの値をとる. 攻撃の回避,イニシアチブ判定に使用する. Willpower BRG修正またはWIT修正のどちらか高いほうの値をとる. 魔法や恐怖への抵抗判定に使用する. Wisdom BRG修正またはPER修正のどちらか高いほうの値をとる. 嘘を見破る判定などに使用する. これらの中から,得意リアクション("favored reaction")を 一つ選択する.選択したリアクションは,成長に必要なポイントが少なくなる. 職業ごとに推奨されるものは存在するが, どのリアクションを選択するかはプレイヤーの自由である. Health: VIT能力値 + STR修正 によって決まる. いわゆるHPに相当.能力値が成長しても,この副能力値は上昇しない. Defence: いわゆる防御力.攻撃の命中判定に対する目標値となる. 10 + Nimbleness修正 で決まる. Nimbleness修正値が上昇したときのみ,Defenceの値は変化する. Courage: キャラクターが「特別」であることを表す数値で, いわゆるヒーローポイント. 基本値は3点で,種族や職業によって修正を受ける. Renown: 知名度.0 からスタートし,キャラクターの活躍によって上がっていく. 相手のことを知っているかどうかを判定するのに使われる. 自分と相手の出身によって目標値が決まり, (Local(同郷)なら5,Area(同一地域)なら10,…) 相手の Renown による修正と種族や職業が同じかどうかによる修正を加えて Wits で判定.成功すると,相手のことを知っていることになる. Table 2.3, p.51 参照. 有名なことは,またいくつかの社会系の判定などで ボーナスあるいはペナルティとして働く. Size: キャラクターの大きさは,いくつかの判定に影響を与える. エルフと人間は Medium,ホビットとドワーフは Smallである. 1.2.1 負傷と回復 負傷レベル("Wound Level") Health = 10 なら,ダメージを10点受けた時点で 負傷段階が "DAZED" となり,すべての肉体判定と ほとんどの知識判定にペナルティを受ける. 負傷段階は五段階で,ホビットは Size が Small なので四段階である. (ドワーフも Small Size だが,頑健なために負傷は五段階である). 註: この五段階とは,Healthy を含まない. Hobbitは,Incapacitated になった時点で死亡する. なお,大きな(Large以上)生物は,Healthy である段階が 大きさ1段階ごとに1段階追加される. たとえば,Mammoth(Largeより1段階上)は3段階分のHealthyを持つ. また,オークやその他の重要でないキャラクターに関しては, Health ルールを用いなくても良い(P.270のガイドライン参照). 自然治癒:1日休んで1点負傷が回復し,1週間に1回Stamina判定を行う. このときの目標値は負傷段階によって決まる(Table 9.36, p.247). 判定に成功すると,VIT修正値(最低1)点追加で回復する. 治療師の手当てがある環境では,この判定を週に2回行える. 手当て:手当て(Healing)技能を用いた判定に成功すれば, その負傷段階のHealth + 1点分までHealthを回復する (たとえばInjured なら Dazed の残り1点の状態まで回復する). また,一週間ごとの自然治癒判定が2回になる. 手当ての目標値は負傷段階によって決まる(Table 9.37, p.247). 医術:GMがキャラクターが感染症にかかるなどと考えた場合, 医者は Healing 判定を行い,傷が自然に1日回復するか, 1週間回復するか,あるいはまったく回復しないかを決定する. 高度な治療:Minas-Tirith やエルロンドの館にある 設備を用いた高度な治療は,Healing 判定に +5 のボーナスを得る. また,判定に成功した場合はただちに Health と同じだけ 負傷が回復し,患者は1週間に2回 Stamina 判定を行うことができる. また,医者が付きっ切りで手当てをする場合, 毎日 Healing 判定を行って倍の速度で負傷が回復するかどうかを決定する. 能力減少の回復: 下がった能力値は,休息することで1日1点回復する. ただし,Stamina判定などによって回復を加速することはできない. 1.2.1.1 攻撃以外のダメージ ・溺れる キャラクターは,最低1分,(1+Stamina修正)×1分, 息を止めていることができる. その後,ラウンド数に応じて,意識を失わないかどうか Stamina 判定を行う.意識を失うと,自動的にダメージを受ける. P.245 Table 9.32 を参照. 死ななかったキャラクターは,15分の休憩で,1d6 点回復する. 煙による窒息も,煙による毒の効果を除けば,同様に扱う. ・落下 落下した距離に応じたダメージを受ける. P.245 Table 9.33 を参照. 表に示された目標値の Acrobatics 判定を行って (註: 表には Swiftness と書いてあるが Acrobatics で判定), 成功すればダメージを半減できる. ・火炎 キャラクターが炎あるいは高温にさらされたときは, 1ラウンドごとにダメージを受ける. P.245 Table 9.34 を参照. ここで,Swiftness 判定に失敗すると,炎に包まれてしまい, ただちに追加ダメージを受ける. 炎を消すには,失敗した Swiftness 判定に再挑戦する. この判定は Full-Round アクションで, それまでは受け続ける追加ダメージは 2d6+4 である. 他のキャラクターが火を消すのを援護する場合,グループによる判定と同様に扱う. ただし,やはり着火を避けるための Swiftness 判定を行う必要があり, 援護するキャラクターは +5 の修正付きで判定する. ・毒 P.246 Table 9.35 は毒を作成するための表である. Type で指定された方法(接触,吸入,外傷,服用)に Onset で選択された時間だけ毒に触れたら, Staminaで目標値 7+Potency修正の抵抗判定を行う. 毒を中和する際の Healing 判定には, もし毒の正体を知らない場合は,そのための Healing 判定(GMが設定)に 成功した上で 目標値 10 + Treatment 修正の Healing 判定を行う. 一部の毒には,Healing は無効である. 効果は,Primary/Secondary の二種類があるが, Stamina 判定に失敗した場合は Primary, 成功した場合には Secondary Effect を受ける. 能力値の減少などは一時的なもので,休息によって回復する. "Stages" が設定されている場合,一定期間ごとに効果を受ける. 抵抗判定は,最初の1回目の結果をそのまま継続する. なお,Stages は,1, 1/2d6, 1d6, 2d6 のどれを使いたいかを決定したら, すぐにダイスを振って(毒を作成した時点で)値を確定すること. 1.2.2 疲労と回復 疲労レベル("Weariness Level") 長時間の旅や戦闘,呪文の行使などを行った際は, 疲労判定が発生する.疲労判定は Stamina で行い, 目標値は負荷によって決まる. 疲労すると,すべての判定にペナルティを受ける. 疲労からの回復時間は,Table 9.39 @ P.249 の通りである. ただし,GMが許可すれば,キャラクターはCourage1点と引き換えに 2段階の疲労を回復してもよい. また,StaminaやWillpower判定によって疲労のペナルティを 一時的に無視することを許可しても良い. 負傷・疲労によって受けたペナルティは当然合計して, 疲労への抵抗判定にも同様のペナルティを与える. また,年をとったキャラクターは,疲労への抵抗判定にOld なら -4, Agedなら-8のペナルティを受ける. Exhausted になったキャラクターはただちに意識不明になる. 疲労がSpentまで回復するには,目標値10のStamina判定 (Exhaustedによる-10の修正を受ける)に成功する必要がある. この判定は,戦闘中は1ラウンドに1回,通常時は1分に1回, またGMが特別に許可したタイミングで行うことができる. 他のキャラクターは,目標値10のHealing判定を行うことで 回復を助けることができる.疲労回復判定の目標値を, marginal successで3,completeで5,superiorで10下げる. extraordinary successなら,対象はただちにSpentに回復する. 1.2.3 勇気 勇気("Courage") 勇気の使用 1ラウンドには4点まで使用可能. 使い方その1:判定の修正値に +3 ボーナス. 前金で支払う必要はなく,テスト結果を見てから何点使うかを決めてよい. 勇気の1点あたりの効果を増強する( "+3" を "+5" にするなど)特徴を 持っている場合,それらの効果は累積する. たとえば,Bold と Horselord を持ったキャラクターは, それぞれから +2 の修正を受け,Ride 判定に+7のボーナスを得る. 使い方その2:特別な(通常は不可能な)判定を行うために1点支払う. たとえばナズグルの王に攻撃を仕掛けるといった行動. これは,判定値には修正を得られない(あくまで判定する権利を得るだけ). 勇気を取り戻す いくつかの職業の能力は,これに影響を与える. 英雄的な,気高い,自己犠牲などの目的のために消費した勇気は, そのシーンが終了した時点で,あるいはGMが望むなら即座に回復する. 逆に,利己的な目的のために使われた場合は, 長期間(1日〜1週間といった単位)の後 あるいは次のゲームまで回復しない. 1.2.4 堕落 副能力値のひとつ,Corruptionは,闇の勢力による影響の強さを表す. 邪悪な誘惑や,力の影響にさらされたとき, またGMが認めた状況では, キャラクターは Willpower 判定を行わなければならない. 目標値は,P.234 Table 9.21 Corruption Difficulty などを 参考にして決定する. 抵抗判定の結果が失敗なら1点,Complete Failure なら2点, Disastrous failure なら3点, Corruption を増加させる. また,Superior Successなら1点,Extraordinary Successなら2点, Corruptionを減少させる. また,Complete Failure 以上の失敗の場合は, Corruption の影響を受けた行動を行わなければならない (たとえば,仲間の情報を,敵のスパイに金で売ってしまう). このような行動を取った後に,GMはもう一度,同じ難易度あるいは それ以上の難易度のWillpowerを行わせてもよい. そこで判定に成功すると,キャラクターは取った行動の意味に気付くことができる. ただし,Corruption の値は減少しない. 抵抗せずに誘惑に乗った場合などは, GMはそのキャラクターの Corruption を最低2点増加させること. なお,Corruptionの値が Bearingの値と等しくなった時点で, キャラクターはNPCとなり,直接的ないし間接的にサウロンのために働くことになる. キャラクターは,善行を行うことでCorruptionを減少できる. たとえば,無力なホビットをオークから (何も得るものがないと分かっていても)助けた場合など, GMがそれと認めた場合には,最低2点,Corruptionを減少させる. 1.3 その他の修正 これらは,能力の変化によって直ちに影響を受ける値である. 荷重: STRx10 までは普通に運搬可能.x20まで重荷,x30まで超重荷となる. 荷重による疲労判定を行う場合, 重荷のときは目標値に+10,超重荷のときは+20の修正を受ける. この値は,STRが上昇すると直ちに変化する. ダメージ修正: STR 能力値修正は,そのまま手持ち武器,手投げ武器のダメージ値に加算される. 弓のような射撃武器には影響を与えない. この値は,STRが上昇すると直ちに変化する. 1.4 技能と特殊能力 種族と職業によって,以下の技能,特殊能力を取得する. ただし,初期キャラクターは,各技能,最大6ランクまでしか成長できない. 技能は,最終的には,最大12ランクまで成長する (この値には特殊能力等による修正値を含まない.  特徴などの前提条件も,技能のランクだけが問題であり,  その他の修正は含めない). 種族による制限: 種族によっては,魔法が使えない,男性のみである, 特定の職業を選べないといった制限があるので,それに従うこと. 種族の特殊能力: すべて無条件で獲得する. 種族スキル(Skills)と特徴(Traits): リストの中からスキル・特徴を6ポイント取得できる. 特徴("Traits") は有利なもの("Edge")と不利なもの("Flaw")に 分けられており,不利な特徴を追加することでさらに特徴を 追加獲得することができる. なお,自由選択のかわりに,パッケージから選んでもよい. "Flaws" は,職業によって取得できるものと合わせて4つまで取得できる. 職業スキル(Order Skills): 職業ごとに修得可能な技能のこと. 職業ごとにパッケージが用意されているので,そこから選択する. Flaws を追加することで,職業パッケージの Edge を追加獲得できる. "Flaws" は,種族によって取得できるものと合わせて4つまで取得できる. パッケージに従いたくない場合は,15ランクを一つの技能には 最大3ランクまでという制限付きで割り振り, さらに5ランク分の自由配分を行う. スキルの15ランクに限定される. この場合も,ランクの最大値は6までである. また,追加で適切な Edge を一つ獲得する. 職業の特殊能力(Order Abilities): 職業ごとに用意された特殊能力. 初期キャラクターはひとつだけ選択する.前提条件に注意すること. 当然ながら自分の属するOrderの能力からしか選択できない. 言語: 合計で Wits x 3 の値まで, Language(言語), Lore: Realm(地域知識), Lore: History(歴史)を覚えられる. これは,種族のスキル修正などとは別に追加され,自由に選んでよい. Wits = 6 の場合の修得例を以下に示す. Language: Westron +3, Language: Sindarin +1, Language: Quenya +1, Lore: History(Gondor) +5, Lore: Realm(Gondor) +4, Lore: Heraldry +4 (heraldry=紋章学) フリーポイント: 最後に,キャラクターは5点の自由ポイントをもらえる. これは,成長ポイントと同様に消費することで, 能力値(Primary Attribute),技能のランク,edge の成長を行うことができる. ただし,技能は6より上げないこと. また,職業の特殊能力を身に着けることもできない. 1.4.1 技能の専門化 各技能は,「特化」することができ,特化された分野に関しては+2修正を受ける. キャラクター作成時は,ただ一つに限って,特化を自由に行ってよい. 二つ目以降は,一つにつき1点,技能ポイントを消費すること. キャラクター成長時は,成長ポイントを使うことによって特化が可能である. たとえば Acrobatics(Balance) ならバランス判定には+2修正となり, それ以外のAcrobatics 判定もランクそのままで可能となる. GMの許可があれば,Acrobatics(Balance, Swing) のように, 複数の専門分野を取ることもできる. 知識,言語といった技能は,技能グループと呼ばれ, 地域知識,歴史知識といった特定の分野に専門化する必要があるが, これは上記の特化とは異なる. なお,当然ながら,技能ランク 0 の技能に関しては特化を行うことはできない. 1.4.2 技能ごとの特殊修正 註: GMが面倒だと判断した場合は省略したほうが安全 Armed Combat 技能では,技能グループとして Axes(斧全般), Blades(ダガー〜ロングソード), Clubs(鈍器,杖や盾を含む), Natural Weapons (爪,牙,尻尾), Polearms (槍など), などが選べる. Armed Combat では,スキルが6ランク,9ランク,12ランクに達したときに, 特定の戦闘行動(防御攻撃,なぎ払いなど)を1つ選び, その行動に関してだけ+1のボーナスを得る. 複数回同じものを強化してもよい. 1.5 判定 判定は,次のように行われる. 達成値 = 2d6 + 技能ランク + 能力値修正 + その他の修正値 ただし,2d6の結果が6ゾロだった場合は,d6を追加で振り足すことができる. 追加のd6が6だった場合には,さらに振り足しを継続する. その他の修正として,関連した技能 ("Affinity") によってボーナスを得られる. これは,剣の鑑定をするときの Craft (Sword), 森の中で隠れるときの Survival(Forest) など, 本来の鑑定や隠密といった技能以外でも判定できそうだとGMが判断した場合に, そのような技能一つごとに,ランクに関係なく,+1修正を受ける. 技能は,訓練が必要("Trained") なものと訓練が不要("Untrained")な ものがある.訓練が不要なものについては,ランク 0 の技能についても -2ペナルティでいわゆる「技能なし」判定が可能である. 目標値への修正: 暗闇なら+5, 位置による不利 +3〜+9 肉体判定におけるサイズの影響: Medium のキャラクターが Small に対しては目標値に+2修正. 逆に大きいものへの攻撃は目標値に-2修正がある. これは,SmallのキャラクターはMediumのキャラクターに対して 攻撃・防御に+2ボーナス,と考えてよい. 成功度: 目標値と達成値の差分で参照. 11- : Disastrous Failure (判定前より状況が悪化する) 6-10 : Complite Failure (再挑戦すらできなくなる) 1-5 : Failure (-2ペナルティで再挑戦可能な場合もある) 達成値=目標値 : Marginal Success (基本的な目的は達成する) 1-5 : Complete Success (目的を完全に達成する) 時間 x0.75 6-10 : Superior Success (目的以上の効果を発揮) 時間 x0.5 11- : Extraordinary Success (次の行動も有利になる) 時間 x0.25 1.5.1 グループによる判定 複数人で行動判定を行う場合,リーダーを決定して判定を行う. リーダー以外の全員がそれぞれ 目標値 -5 の判定を行い, 成功度によって +0〜+3 のボーナスをリーダーの判定値に加える. 1.5.2 対決判定 判定によっては,他のキャラクターとの「対決」になる場合がある. この場合は,指定された技能や能力値で相互に達成値を計算し, 高いほうが勝利となる.また,達成値の差分が成功度を決定する. 同点の場合は,特に指定されていなければ,再度判定するか, あるいは別の技能や能力,それ以外の要因によって判定を行う. 攻撃に対する回避判定は命中側(回避は「防御値=目標値」を 上昇させる行動とみなすため),攻撃に対する防御判定は防御側が勝利する. また,一部の魔法などでは同点の場合に勝利する者が決まっている場合がある. 1.6 成長 キャラクターは,冒険を通じて経験値を獲得する. GMは,経験値を判定ごとに獲得するか, シナリオごとに獲得するかを決めること. 経験点: ・ストーリーの目的に関連した判定に成功した: 目標値と同じ点数 ・シナリオの1番の目的を達成した: 1000点(キャラクターで分配) ・シナリオの2番目の目的を達成した: 500点(キャラクターで分配) ・シーンでの目的を達成した: 100点(キャラクターで分配) ・その他ロールプレイなどに応じて レベルアップ(Advancement): 1000点ごとに成長することができ,1回の成長ごとに 成長ポイント ("Advancement Pick") が5点もらえる. 成長で技能などを獲得するときは,ストーリー上で それを修得する機会があったものだけを獲得するべきである. 成長ポイントは,成長時に完全に使い切ること.持ち越しはできない. 成長時に,能力値と,ReactionやHealthなどの値は別々に上昇する. ただし,Defense,ダメージ修正,荷重だけは Nim,Str の上昇に伴って上昇する. 成長ポイントを用いて,職業スキル,種族スキル,自分の種族の Edge が獲得できる. 訳註: 職業パッケージの Edge については記述がないが, 基本の職業パッケージさえ確認できれば獲得しても問題ないと思われる. GM は,キャラクターが新たな Flaw を獲得するかわりに 6点の成長ポイントを獲得することを認めてよい. 技能の成長には制限がある. 技能の成長は職業スキルなら2ランクまで, 職業スキル以外のスキルは1ランクしか成長させることができない. 1点の成長ポイントで2ランク成長するというのではなく, 単に1回の成長ではどのスキルも最大で2ランクしか 成長しないというだけである. また,成長表に挙げてある種族スキルは, Native な言語(Language)と知識(Lore)技能を伸ばす際に使用するポイントのことで, 種族の説明の下に挙げてあるリストから取ることはできない. 1.6.1 知名度の上昇 知名度は,シナリオ中で劇的な行動を取ると上昇する. この行動は Renown Trigger と呼ばれるが, 例は P.280 Table 11.3 で紹介している. 1.6.2 複数職業の兼業 成長ポイントを支払うことで,複数の職業に就くことが可能. 複数の職業に就くことで, 追加の職業の技能,特殊能力の修得が可能となる. 同時には二つの職業の特性しか成長させることはできない. 三つ目以降の職業に就いた場合は, 成長ポイントを使うことができる職業を二つだけ決定すること. この決定は,さらに他の職業に就いた場合か, あるいはポイントを払い直して元の職業に就くする必要がある. なお,職業に就いたからといって,タダで職業の特殊能力が 使えたりはしない(キャラクター作成時とは異なる)ので, 自分でポイントを支払って修得する必要がある. 1.6.3 上級職 上級職(Elite Orders)になるには以下の三つの条件を満たす必要がある. (1) 一つの職業で,Advancement (レベル) を6以上にすること. 複数の職業に就いていても,どれかひとつの職業で6レベル必要. (2) なりたい上級職の能力値条件を満たすこと. (3) 職業の「兼業」に必要な成長ポイント5点を支払うこと. 基本職が何かということで,上級職が縛られることはない. 2. アイテム 通貨: 貨幣の単位は次の通り. 1sp: silver penny = 100cp: copper penny 1SP: Silver Piece = 4sp 1gp: gold penny = 1SP 1GP: Gold Piece = 4gp 初期通貨のルールは特に存在しないので,GMが適宜所持金を決定すること. ガイドライン: 1d6 SP + 職業修正 + 地域による修正. 職業: Nobleなら +2,Barbarian なら -2 など. 地域: Gondor なら +1,Bree なら -1 など. アイテムは,地域によって値段が異なるので注意すること. 鎧: 鎧は Corslet (胴鎧) と Full hauberk の二段階がある. リストにあるのは Corslet で, Full hauberk にすると値段が倍になる. FAQによる補足: hauberk は値段がCorsletの1.25倍. 武器や防具のサイズ: Lサイズのものはドワーフやホビットには使えない. ものを隠すときなどには,小さい種族はSサイズのものをMサイズとして, MサイズをLサイズとして考える. 特殊なアイテム: Stealbow: ヌメノール人が作った弓.製造法はもはや失われているが, 至近距離(Point Blank)〜中距離(Medium Range)でダメージに+2の修正. Dagger, Orc & Dagger, Long Knife: 投擲可能武器だが,投げるときは-2のペナルティ. Chainmail, Dwarf: ドワーフのみが装着可能. FAQによる補足: なぜ Plate Armor や Crossbow がないのか? 原作(小説および映画)にまったく登場していない. 世界観を原作に近づけるため,このような武具の存在は無視している. FAQによる補足: Table 8.4 掲載の Dwarven Tyoes の値段は, 最も安価なクリスマス・クラッカー(イギリスにあるものと同種)の値段である. 本当の Dwarven Toyes は,その複雑さ,耐久性に応じて100〜1000倍の値段がする. ただし,それとは関係なく,値段は cp ではなく sp である. 3. 戦闘 戦闘はラウンド制で行われる. 1ラウンド(あるいはターン)は6秒で, 各ラウンドの最初に行動宣言を行った後,イニシアチブ判定を行う. イニシアチブは Swiftness 判定で,高い者から順番に行動する. 註: キャラクターシートのInitiativeにはNIM修正と書いてあるが,誤植がある. 行動を「遅らせる」宣言をして,後のキャラクターの行動に合わせてもよい. 複数人が同時に動こうとした場合にはイニシアチブを 持っていたほうが早く行動できる. GMが望むなら,最初に決定したイニシアチブを以後のラウンドでも そのまま用いてよい. 各キャラクターは,1ターンに標準で2アクションの行動を行うことができる. (Swift Strikeを持った戦士や,War-Trained Horse への騎乗は, それぞれアクション数を増加させる) 行動によって,消費アクション数は異なる. また,職業によっては,アクション数が増える能力もある. いくつの行動を遅らせるかは自由だが, 基本的には,そのキャラクターの順序で,可能なアクションはすべて実行してよい (移動して攻撃など). また,アクションコストが支払えない場合, ペナルティつきで無理矢理行動することが可能である. その場合,行動判定に1回ごとに -5 の累積ペナルティを受ける. つまり,2アクションのキャラクターは,3回目の行動には -5 のペナルティ, 4回目で -10 のペナルティを受ける. この追加アクションで,判定が不要な行動を取る場合, 基本目標値を5とみなして判定を行うこと. アクションコスト0の行動: 以下の行動は,コスト0で実行できる. 狙いを変える,物を捨てる,叫ぶ(判定不要) 何かに気付く(Observe判定) アクションコスト1の行動: 狙いをつける,攻撃(種々のオプションあり),回避,防御,移動 全力移動など,アクションコストが高くなる行動も存在する. 3.1 移動 1アクションを消費して移動することができる. Walk: 3〜6 ヤード Jog: 7〜9 ヤード Run: 27ヤードまで 2アクション, Run 目標値 5 (接近戦中なら 10) Splint: 40ヤードまで full-round アクション, Run 目標値 10 (接近戦中なら 15) 走る場合は Run 判定が必要,目標値は 5 (接近戦中なら 10). 全力移動を行うと,それ以外の行動はできないが, Run 判定で目標値 10 で 40yards, 35m 程度まで移動できる. なお,重荷の場合は移動距離を 3/4,超重荷の場合は 1/2 にする. 註: 1 yard = 3 ft. = 0.91 m 3.2 攻撃 Armed Attacks basic : 通常攻撃. blunt : 鈍器による攻撃. defensive : 攻撃判定に-2, 防御判定に+2 power : 防御に-2,ダメージに+3 precise : 攻撃に+2,ダメージに-2 two-handed: 防御に-2,ダメージに+4.両手で片手武器をかまえるので盾は使えない. sweep (2) : 3人まで同時に狙う.二人なら-4, 三人なら-6.順番に攻撃判定し,ダメージも個別計算.途中でparry/blockされたらそこで止まる. charge (2): 3yards以上の距離が必要.攻撃に+1,防御判定に-3.ダメージ1.5倍で,チャージしてきたキャラクターのSTR+2を目標とするStrength判定に失敗すると倒れる.チャージの対象となったキャラクターは,チャージしてきたキャラクターに対して攻撃に+1のボーナス. つかむ(Grab): unarmed combat判定.つかみかかられた相手の行動のあらゆる目標値を+5する.つかまれた側はSTR判定で抜け出そうとする(1アクション).攻撃側は,1アクションでつかんだ相手に 1d6+STR modifier ダメージを与える,押さえつけてSTR対抗判定に+3のボーナスをもらう,あるいは壁や地面にたたきつけて1d6ダメージを与えることができる. 捕縛(Grapple): 鞭 (Whip) で,Superior 成功以上の命中をしたときに有効. 毎ラウンド,相手との Strength による対決判定(攻撃側は+4ボーナス)に勝利すれば, 相手を防御不可能な状態にしたり,地面に倒したりできる. 絡め取られている相手に対する攻撃は,+5のボーナスを得る. 殴る(Punch/Kick): Unarmed attack判定.1d6+2+STR modifierダメージ. 足払い(Trip): Unarmed Attack だが Nimbleness で判定. 防御側は Nimbleness または Swiftness (防御者が選択)で抵抗. 成功すると,ダメージはないが転倒する. サイズによる修正: サイズが小さいほど有利になる.1段階小さいサイズ相手への攻撃は-2のペナルティを受け,1段階大きいサイズの相手への攻撃は +2 の修正を受ける.小さいサイズのキャラクターの,大きなキャラクターの攻撃に対する防御判定は修正を受けないので注意. 差は1段階ごとなので,2段階差があると+4/-4の修正になる. 両手に武器を持つ: 1アクションで,利き腕と逆腕の両方で1回ずつ攻撃できる. Ambidextrous Edgeを持たない場合はペナルティがある. ダメージ計算: ダメージ値の計算においては,2d6 が6ゾロだったからといって 振り足しは発生しない. 3.3 回避と防御 このゲームでは,攻撃の基本目標値は,攻撃対象の Defense の値である. 目標値以上で命中となる.しかし,回避あるいは防御によって, 攻撃を命中しにくくすることができる. 回避(Dodge): 1アクション消費.Swiftness 判定を行って, その達成値で Defense の値を置き換えることができる. 達成値が Defense より低い場合は,Defense は置き換わらない. この結果は,そのラウンドの最後まで効果を持つ. 複数回,回避行動を取ってもよいし, 行動順序がまわってなくても回避判定だけは先に行うことができる. ただし,攻撃側がダイスを振る前に宣言しておくこと. もし攻撃側の達成値が元の Defense に到達しないときは, アクションは消費されない. Dodgeの結果は攻撃側の目標値になるので,同点の場合は命中である. また,盾のParry/Blockボーナスは回避行動時には適用されない. 防御行動をとった場合のみ,Parry/Block ボーナスを追加することができる. アクションが残っていなくても,-5 ペナルティ(累積)の 追加回避行動は取れることを忘れないこと. 防御(Parry/Block): 1アクション消費. 武器技能(Armd CombatまたはUnarmed Combat)で, 相手の攻撃の達成値を目標値とした判定を行う. 回避の場合と違い,同点では防御成功である. 行動順序がまわってなくても防御判定は先に行うことができる. ただし,攻撃側がダイスを振る前に宣言すること. 攻撃側の達成値が元の Defense に到達しないときは, アクションは消費されない. Parry/Block判定では,装備している盾によるボーナスが適用される. 技能判定は同時に使っている武器のものでよく, Armed Combat: Club(Shield) は特に必要ではない. その防御に使う武器が専門武器なら, 盾を使っている場合でも,やはり +2 のボーナスを得ることができる. アクションが残っていなくても,-5 ペナルティ(累積)の 追加回避行動は取れることを忘れないこと. 3.4 射撃 射撃(Ranged Attack): P.230の表を参照.基本目標値は相手のDefense値. X+S の表記は,"L" より遠くなった場合に,距離 S ごとに+2の修正が加わる. また,飛び道具に対しては,盾の Parry/Block ボーナスは常に働く. 飛び道具に対しては,Parry/Block 行動ができないことに注意. 3.5 狙いをつける 1アクションを消費. 次の攻撃に,直接攻撃なら+1,間接攻撃なら+3の修正を受ける. 3.6 攻撃の大成功 攻撃の命中判定が Extraordinary Success (目標値を11以上上回った) ならば 最大ダメージを与えたことにするか,武器や鎧,盾のどれかを壊すことができる. 3.7 スタン 殴打(Blunt)攻撃を選んだ場合,ダメージのかわりにスタン効果となる. Table 9.17, p.232 にある目標値に対してStamina判定を行う. Superior Success なら効果時間を半分, Extraordinary success なら影響を受けない. スタン中は,すべての判定にペナルティを受ける (ペナルティ値も同じ表を参照). 註: スタンを起こすための Blunt 攻撃は,頭などを部位狙いで狙う必要がある. 頭部狙いの場合,目標値は +12 の修正を受ける(Table 9.18に従う). 註: GM が望むなら,スタンによるペナルティ値を, Complete/Superior/Extraordinary success のときは -1/-3/-5 軽減してもよい. 3.8 恐怖 攻撃者はIntimidate(Fear)などを用い,防御側はWillpowerで抵抗する. 恐怖の影響を受けてない人間からの Inspire などによっても 再度判定を試みることができる. また,闇の眷属に対しては Intimidate(Majesty or Power) などで 恐怖による攻撃を仕掛けることができる. 抵抗側は,恐怖の対象からの距離や,仲間からの激励などによって 抵抗に修正を受ける(Table 9.20, p.233). 恐怖攻撃が Merginal success すると: 相手はすべての行動に-1ペナルティ. Complete Success: -2 Superior Success: 1ターン行動不能.かつ,-4ペナルティ. Extraordinary Success: 逃げ出すか,地面などに伏せる. 3.9 騎乗戦闘 馬の移動速度は以下の通り.(Table 9.22) Crawl/Step 2 ヤード Walk 12 ヤード Canter 24 ヤード Run 72 ヤード 2アクション,Run 目標値 5 Gallop 160 ヤード Full-round アクション,Run 目標値 10 (註: 原文の,Canter の 48 ヤードは 24 の誤り, また Run のコスト 1 となっているのも 2 の誤り) 馬の中で,Mearas, Elven-Steed だけは Ride 技能を持ち, 乗り手の Ride 技能とどちらか高いほうを用いることができる. 馬の行動は,乗り手がいる間は,乗り手に従い,独立したアクションは起こさない. 乗り手がいないときだけ,2アクション行動することができ, 主にその場から逃げ出すためだけに用いられる. 戦闘時は,たとえば馬が怯えてる場合や, 戦闘の只中に飛び込む場合などは,Ride 判定を GM が要求してよい. 戦闘中は,特に Ride 判定に -1 〜 -4 のペナルティを受ける. 馬上にいる間,そのキャラクターは非常に背が高いと考えられるので, "Large" size のキャラクターなどと同様に, 小さい者に対する攻撃と回避にペナルティを受ける. また,馬上からの Ranged Combat 攻撃は -4 ペナルティを受ける. 騎乗時の突撃では, 相手が騎乗していない場合は,「有利な位置」による修正で 目標値を -3 する(攻撃に+3のボーナスと考えてよい). ダメージの決定および転倒の判定に対して,本人のSTRの代わりに馬のSTRを用いてよい. 馬の特殊能力: War-Trained: 戦闘用に訓練されており,乗り手の行動に影響を与えずに 噛み付きや蹴りなどで敵を攻撃することができる. 乗り手が指定した敵を攻撃するために,1アクション使用できる. Steady: 戦闘中であっても,Ride 判定へのペナルティを受けない. 3.10 敵データに関して FAQによる補足: 12章のキャラクターデータについては, 能力修正値は計算されていないので, 技能判定を行うときは能力修正を計算する必要がある. また,ダメージにも,STRボーナスを加算する必要がある. FAQによる補足: 武器について,Armed Combat のスキルを 特定の分野に限定していないが, 用いる武器に対して適切なものを持っていると考える. 3.11 戦争 集団戦闘("Battle") では,通常戦闘("Combat") と異なり, 1ラウンドは1時間になる. 戦闘を始める時点で, Table 9.2 Battle Resolution Table を用いて,戦況が Winning(+3) .. Losing(-3) の7段階のどの状態にあるかを決める. 両者が互角の場合はEven(±0)から始まる. もしキャラクターが属する陣営のほうが 数で優っている,装備が優れているといった理由があれば Winning から,逆に劣っている場合は Losing から開始する. 各ラウンド,GM は各陣営について 2d6 を振る. キャラクター側の陣営については,戦況による修正を加える. また,GMが望むなら,それぞれの陣営の(通常は指揮官の) Siegecraft ランクを加算する. 結果の値を比較し,キャラクター側陣営の値が大きかった場合は Victory のほうへ,小さかった場合は Defeat のほうへ,戦況を1段階進行させる. Victory まで到達,あるいは Defeat まで到達したら,戦いは終結する. 敗北した側は,全滅や退却を余儀なくされる状況となる. キャラクターが属している陣営が敗北したとき, キャラクターが死ぬとは限らない.戦闘の結果については,適宜GMが決定すること. もしキャラクターが劇的な活躍をしたいと望むなら, 各キャラクターがどのように戦っていたかを決定することができる. 各ラウンドで,キャラクターがどのあたりで戦っているかを, プレイヤーに選ばせるか,あるいは 2d6 で P. 239 Table 9.24 PRESS を参照して 決定する.そして,2d6 を振って Thick of Battle のときは +1,Heart of Battle のときは +2 の修正を加えて, P.239 Table 9.25 Hero Combat を参照する. ユニット(部隊)へのダメージは, ユニットの実際のサイズの 1/10 である「サイズ」特性に記録される. 3.11.1 部隊戦闘 重要なキャラクターたちが,戦争の中で どのように戦ってるかを表現するために 部隊戦闘 ("Unit Combat") が準備されている. 部隊戦闘は,毎ラウンド,どの部隊と戦っているかを決める 抽象戦闘としてもよいし,実際に地図を書いて進軍する 具体的な戦闘をしてもよい. この戦闘では,部隊(ユニット)が行動の単位となる. 部隊の能力は,Size, Strength, Toughness, Mobility, Moraleからなる. Size: 人数÷10 が基本のサイズとなるが,種族によって係数をかける. Table 9.26(P.240)の表に係数は掲載されている. 種族が混在した場合は係数なしとする. Strength: ユニットの攻撃力を表す.種族と武装に依存するが,Strength は通常1〜12の値をとる. 部隊での攻撃は,指揮官は Siegecraft 技能(ないときは Bearing)で 相手部隊の Toughness + 10 が目標値となる. ここで,能力修正表を参照して,Strength によるボーナスを追加する. 攻撃が命中すると, (攻撃側 Strength + Size)-(防御側 Toughness)の ダメージを与える. ダメージは Size を減少させる.サイズが 0 になった時点で部隊は消滅する. 部隊の武装によって,攻撃できる範囲は異なる. Toughness: ユニットの防御力を表す.種族と武装に依存するが,通常は1〜12の値をとる. Mobility: ユニットの機動力を表す.通常は1〜12の値をとる. 相対的な速度を表し,移動速度などが問題となる場合はその大小で結果を決定する. 徒歩で移動した場合の値で,馬に乗っている場合は倍になる. Morale: ユニットの士気を表す.通常は1〜12の値 + Size となる. 様々な恐怖などによって士気をくじかれそうになったとき, Morale の値はそれらの行動の目標値として働く. GMは,部隊の存在を,様々な修正に用いてよい. たとえば,強力な部隊を従えた指揮官の Intimidate は, その部隊の Size÷5 をボーナスとして達成値に加えることができるなど. 当然ながら,目標値以上に達したとき,部隊は崩壊する. GMは,部隊の士気の値を,能力修正表を用いて, ダメージや防御力へのボーナスとして使ってよい. また,部隊の指揮官は,Inspire を用いて Intimidate などに 対して対決することで,部隊が崩壊することを防ぐことができる. もちろん,指揮官は部隊と意思疎通を行う何らかの方法, たとえば角笛や大声,旗といったものが使える必要はある. 3.12 建造物 攻城戦 すべての防御拠点は, Protection と Structure という二つの値を持つ. Protection がダメージを吸収し,超えた分は Structure が減っていく. Structure が 0 になると破壊される. P.242 の Table 9.27, 9.28 が平均的な城砦や防御拠点の能力を示している. Table 9.29 は,扉などの錠を破る場合に用いる. また,錠は追加の Protection を扉に与える. 鍵と閂の防御力は,最大+6まで累積する. Table 9.30 には,攻城兵器がリストされている.Siegecraft技能を用いて使用する. 十分な知識を持っているキャラクターなら, 十分な時間と材料を用いることで,城砦の強化を行うことができる. 対象となる城砦の規模に応じて(P.136参照)難易度を決めること. Stonecraft (Fortification) 判定を行うことで, 通常は Protection あるいは Structure (プレイヤーが選択可能) の どちらかを +1 することができる.また,Superior なら +2, Extraordinary なら +3 することができる. 強化の影響は,普通は永続だが,時間がない場合などは, すばやく組み立てることで一回の戦闘にのみ有効な防御とすることもできる. 永続的な強化は,Stonecraft 技能を最低1ランク伸ばしてからでないと 再度の判定を行うことはできない. 一方で,Stonecraft 技能を城砦の破壊に使うこともできる. Stonecraft (Fortification) 判定を行うことで, そのキャラクターあるいはそのキャラクターが属する部隊の指揮官の Siegecraft 判定に +1 (Superior なら +2, Extraordinary なら +3) の ボーナスを与える. 4. 長距離移動 Table 9.41 は旅の速度を,Table 9.42 は場所の距離を表現する. もちろん,複数の人間が一緒に旅をする場合は,最も遅い者に合わせる. 5. この抄訳に関する注意点 利用している訳語: 能力値: attributes 能力値修正: attributes modifiers 副能力値: secondary attributes 得意能力値: favoured attributes 得意リアクション: favoured attributes 肉体判定: physical tests 知識判定: academic tests 社会判定: social tests n+: n以上の値.たとえば「5+」は「5以上」を意味する. 1/2: 割り算を行ったときは,端数を四捨五入する. 注意点として,このサマリでは, 目標値への修正とキャラクターの判定基準値への修正を厳密に区別していない. 本来,判定の目標値に応じた経験点が入るシステムであるため, 目標値の修正と自分のボーナスについては厳密な区別が必要であるが, 実際のプレイ中,目標値ごとの経験点は煩雑となりがちである. そのため,この抄訳では,戦闘における攻撃オプションによる修正など, あえて簡略化している部分がある. FAQ によれば,目標値と判定値への修正は, キャラクター自身からもたらされる修正は判定値へ, 外的要因(毒などの状態異常を含む)によるものは 目標値に作用するようになっている. 原文に関する情報: FAQ によれば, Decipher Inc. は,このRPGを作るにあたって, The Hobbit, Fellowship of the Ring, The Two Towers, The Return of the King, および映画をベースとしており, The Silmarillion や Unfinished Tales は含まれていない. ルールブックの情報: Lord of the Rings RPG Core Book, Decipher Inc. ISBN 1-58236-951-8