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2008-07-24 [長年日記] ▲
_ [論文] プログラムの読みやすさ ▲
ISSTA 2008 で Ditinguished Paper を取った,A Metric for Software Readability という論文が,かなり面白いです.発表を聞いて,論文をざっと眺めただけですが.
120人の学生に,様々な Java のコード断片を提示し,読みやすさで1〜5の点数をつけてもらって,コードの1行の長さの平均とか,1行あたりの識別子の数の平均とか,ピリオドの数とか,色々な指標のどれが効いているかを調べています.可読性の判断は,人によって分かれるかというとそうでもなく,「読みにくいコードは,誰にとっても読みにくい」ようです.
多数の指標に対して descriptive power を計算していて,1行あたりの識別子の数の平均,行の長さあたりが一番効いてくるらしい,としています.このあたり,今までの経験則の裏づけに近いところでもあります.実際は,複数の指標が1つの性質を反映してるようなので,ここから可読性の自動計測ツールに進むには,実際にどの指標を使えばいいのか,調査が必要なようです.
指標の種類が十分でない可能性とか,評価者の好みに偏りがある可能性とかはありますし,また,コードの可読性が開発者に依存するのか,それとも問題が複雑ならコードも複雑になるのか,といった疑問も多く残りますが,この手の話が好きな人は,とりあえず読んでおいて損がない論文だと思います.