«前月 最新 翌月» 追記

netail.net

自作フリーソフトや,ゲームに関する雑記を公開してます.
日記はソフトウェア工学の論文ネタが中心です.

最近のお知らせ (古いものはこちら)


2008-10-03 [長年日記]

_ [近況] 他人が論文を発表するワークショップ

今度の WCRE に併設で開かれる PCODA (Program Comprehension through Dynamic Analysis)ワークショップは,「著者ではない人が論文の要約を発表して,それに基づいて議論する」という方式で行われるらしいです.

本人が気づいてない視点からの意見が得られるかもしれないという意味では面白そうではあるんですが,こんな形式は初めてなので,果たしてどうなることか…….


2008-10-16 [長年日記]

_ [ツール] JUnitのテスト間依存関係を定義する JExample

PCODAワークショップにて,JExampleというツールがあることを知りました.JUnit で使うテストメソッド間で依存関係を定義し,あるテストで計算した戻り値を別のテストの引数に使えるというものです.

たとえば testPush メソッドで要素の push を行ったスタックに対して,testPop を実行する,というような処理が書けるようです.push が動かないと pop のテストはしようがない,というのを表現できるところが嬉しいのかもしれません.

_ [近況][論文] PCODA 参加報告

PCODA2008 に参加してきました.今後参加する人がいるかもしれないので,どんなのだったかメモしておきます.

Organizer から選ばれたプレゼンターの人が著者のかわりに論文の概要を発表し,「著者への質問」スライドなどを使って著者に質問を行い,また,他の人も適宜質問をする,という形式のワークショップでした.

今回の採択率は 8/12.去年とも変わらない値です.

スライドを用意しなくて良いかわり,質疑応答が長めです.質疑応答に慣れてさえいれば,発表準備をしなくて良いし,えらい人の分かりやすい説明のお手本も見られるしで,気楽に参加できるワークショップだと思います.質疑応答では,査読したとおぼしき人たちからのサポートもありました.

一方,プレゼンターにとっては論文しか発表資料を作る手がかりがない(ツールその他を持ってない)ので,コンセプトがはっきり分かるような図表を論文に多めに入れて,良い文章を書くことが重要になります.


2008-10-27 [長年日記]

_ [論文] WCRE2008 参加メモ

だいぶ時間経ちましたが,先日,アントワープにて開催されたWCREでの議論内容をいくらか書いておきます.

投稿は全部で70件(カナダが最多の22件,日本は5件)で,フルペーパーでの採択は20件.割合でいうと29%.最も厳しい年の1つだったようです.20分発表を3件やってから30分まとめて議論というスタイルの発表でした.4日間シングルトラック(2日目午後のワークショップのみ並列)で,わりと小規模なイベントでした.

コードクローンや関心事はそれなりに注目されているのか,それぞれ1セッションずつありました.ただ,いずれも定義がはっきりしないために手法の評価・比較が難しい,というあたりで議論が進まない感がありました(特に解決策は出ず).

全体としては,可視化系のツール・論文が目立っていた気がします.ただ,手法の使いやすさを評価するには他人が使わないとダメなのではないか,時間軸をアニメーションで出すのは面白いけど見たあとに結局何も覚えてない,結局何に使うの?とか,厳しめな意見も多数出ていました.また,まず何が知りたいかを色々考えたいときに可視化は有効だ(詳細は表で見ればよい),と言ってる人もいました.

そのほか,変更予測などの研究におけるコスト対効果のトレードオフに関する質問なんかも出ていました.「変更作業を30分早くするために10時間計算機を使ってよいか」みたいな話に対して,CVS のサーバが普段は何もしてないのでそれを使って計算する,といった答えが出されていました.このあたり,運用面まで考えた手法の設計が必要になりそうです.

2009年は,ICSEとICSMが北米開催なので,WCREはボストン開催の予定を1年先に延ばして,来年もヨーロッパ開催にするとのことです.