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2008-10-27 [長年日記] ▲
_ [論文] WCRE2008 参加メモ ▲
だいぶ時間経ちましたが,先日,アントワープにて開催されたWCREでの議論内容をいくらか書いておきます.
投稿は全部で70件(カナダが最多の22件,日本は5件)で,フルペーパーでの採択は20件.割合でいうと29%.最も厳しい年の1つだったようです.20分発表を3件やってから30分まとめて議論というスタイルの発表でした.4日間シングルトラック(2日目午後のワークショップのみ並列)で,わりと小規模なイベントでした.
コードクローンや関心事はそれなりに注目されているのか,それぞれ1セッションずつありました.ただ,いずれも定義がはっきりしないために手法の評価・比較が難しい,というあたりで議論が進まない感がありました(特に解決策は出ず).
全体としては,可視化系のツール・論文が目立っていた気がします.ただ,手法の使いやすさを評価するには他人が使わないとダメなのではないか,時間軸をアニメーションで出すのは面白いけど見たあとに結局何も覚えてない,結局何に使うの?とか,厳しめな意見も多数出ていました.また,まず何が知りたいかを色々考えたいときに可視化は有効だ(詳細は表で見ればよい),と言ってる人もいました.
そのほか,変更予測などの研究におけるコスト対効果のトレードオフに関する質問なんかも出ていました.「変更作業を30分早くするために10時間計算機を使ってよいか」みたいな話に対して,CVS のサーバが普段は何もしてないのでそれを使って計算する,といった答えが出されていました.このあたり,運用面まで考えた手法の設計が必要になりそうです.
2009年は,ICSEとICSMが北米開催なので,WCREはボストン開催の予定を1年先に延ばして,来年もヨーロッパ開催にするとのことです.