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自作フリーソフトや,ゲームに関する雑記を公開してます.
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2006-10-05 [長年日記]

_ [論文] ASE 2006 の情報少しだけまとめ

NIIでやってたASE2006は,参加者221人(うち本会議参加者は182人),日本人が当然ながら最多で129人,USAから33人,ドイツから13人,フランスから12人.論文投稿数は121,うち22本がフルペーパー,17本がショートペーパー採録でした.フルペーパー採択率は18%.

個人的な印象としては,formal methods を使えるツールにしていこう,と努力してる人が目立った気がします.

便利そうなツールとしては,基調講演で紹介されていた仕様記述&検証環境のCafeObj,Java などオブジェクトの要素をちゃんと扱ってコードのモデルチェックをしようというBogorあたりでしょうか.後者のほうは某先生が「授業で使おうかな」とか仰ってたくらいに良いもののようです(さすがにこの種のツールの良さはまだ自分では判断できないので伝聞形です).

そのほかにも,ツールの使い勝手という側面では,コンパイラに組み込んだらどう?と Volanschi, N.: "A Portable Compiler-Integrated Approach to Permanent Checking" が提案していたり,ツール自体のカスタマイズを容易にするためにZ言語でコード量を小さく抑えてみた,と Ledru, Y. et al.: "Tobias-Z: An executable formal specification of a test generator" が言っていたりしました(Tobias 自体はテストケース生成ツールです).

_ [論文] ASE 2006 でのアスペクト関連な話

ASE の formal methods 系に少し関連しそうな AOP 関連の発表としては,では,Falcarin, P. et al.: "Automated Reasoning on Aspects Interactions", Stoerzer, M. et al.: "Detecting Precedence-Related Advice Interference" の2本のショートペーパーがありました(他にはアスペクトマイニングの発表なんかもありました).

前者はアドバイスが書くデータを読むアドバイスやメソッドが他にいるかどうかを調べて警告を出す,後者はアスペクトの動作順によって文間の依存関係が変わってしまうような場合に警告を出す,というツールの提案です.

どちらの手法も,「あるとちょっと嬉しい」というのは分かっても,本当にどのくらい役立つ事例があるのかはよく分かりません.現時点では世の中にあまり AspectJ プログラムが転がってるわけではないので(Stoerzer は実例は1個だけ知っていると言ってました),その辺は仕方ないかなと思います.

AOASIA の話は独立して長くなりそうなんでまた後日にします.

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